プロフィール
1990年7月4日の読売新聞の夕刊記事です。写真は当時の宮川先生の自宅稽古場でのレッスンでの様子です。
下段に原文のままのせます。記事の内容は当時(1990年7月)のものです。
こんにゃく体操 「ゆらゆら」が効果大
発声・動作に幅*腰痛にも
しかし、指揮者が体を動かし、ピアニストが手を振り上げるように、音楽家には柔軟な体づくりが必要だと考えた。
ところが、学生たちの多くは、頭で「オタマジャクシを追っている」だけで、曲に込められた世界に体が入っていないように見えた。そこで考え出したのが、学生たちが「こんにゃく体操」と名付けた風変りな体操なのである。
体操の基本は、常に全身の力を抜くこと。動きのひとつひとつは独立していて、太極拳のようにゆったりしたペース。動きをイメージ化するため、コメントが添えられたりする。
例えば「立つ姿勢」---。
「地球の中からはえて来たように」「足の上に腰を乗せて、体の中心に背骨が伸びるように」
「眉間(みけん)に花をさかせるように、ゆったりと立ちましょう」
次の動き。「ソフトクリーム、らせん階段のように、腰を回し、胸を回し」「今度はひもが垂れ下がるようにあお向けに」「四つんばいになって背中をふくらませてストンと落とす」「おへそが床をなぜる感じで上下にゆれる」「座布団に正座して、手を使わずに左右に腰を移動する」
こんな調子で一時間。エアロビクスのような激しい動きはない。ストレッチのような激しい動きはない。ストレッチ体操ほどの無理もない。全体が、背骨や関節を忘れさせる自然な動きである。それでも、無意識のうちに筋肉を使っていて、レッスンを終わるころには汗がにじみ出てグッタリする。
この体操、昭和53年に宮川さんが退官するまで、芸大の必修授業だった。「こんにゃく体操ゼミナール」と称するクラブ活動を始めるほど、人気があった。「体がリラックスして、発声や演奏、動作に幅がでる」と評判になり、音楽家ばかりでなく、学外の演劇関係者が受講するようになった。原節子、杉村春子、乙羽信子、司葉子、加藤道子、長岡輝子、北村和夫ら名だたる顔ぶれである。その一人、司さんが楽しそうに話してくれた。「原節子さんに誘われ、始めたのですが、ゆるやかな動きの割には、おなかがぺこぺこになって。今でも寝る前や、舞台の合間に自己流でやっています」
宮川さんによれば、天性で「こんにゃく体操」する人もいるという。たとえば桃井かおりさん。「最初から動きが自然で、集中力がピカ一でした」という。
宮川さんは、現在も東京・阿佐ヶ谷の自宅けいこ場や文学座の演劇研究所などで教えている。
ゼミの2期生で、卒業後もずっと通っている文教女子短大講師の黒田浩一さん(49)は「声楽に大切な呼吸法も習得でき、ちょっと体操を休むと、体がだるい」と礼賛。
☆『FYTEE(フィッテ)』6月号(学研パブリシング)に掲載されました。
☆『週刊女性』5月22日号(主婦と生活社)に掲載されました。
☆『婦人公論』5月21日号(主婦と生活社)に掲載されました。
『クロワッサン』(マガジンハウス)に掲載されました。
『ソトコト』6月号(木楽舎)
「中日新聞・夕刊」(2012/6/18)
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